あごめぐり
(新上五島町あご漁)
お盆過ぎ、北風で海が荒れはじめたら、あご漁開始のサイン。9月から10月初旬頃までの限られた漁期の中で、漁師たちは海面を跳ねる銀色の影を追いかけます。長崎県・新上五島町で行われる「二艘曳き網漁」は、2艘の漁船が一定間隔で並びながら、1枚の網を曳いて魚を獲る方法。風の向きや波の高さ、潮の流れから群れの位置を予測し、船を操る高度な漁法です。知れば知るほど奥深いあご漁の様子を、美しい海の風景とともにご紹介します。
漁の時期

秋の風物詩とも言われるあご(トビウオ)の漁は、お盆が過ぎ北風が吹きだすと始まります。あごのとれる時期は短く、10月初旬までの約1ヶ月半の間で1年分のあごを漁獲します。
漁のはじまり

漁はいつも、午前6時にはじまります。網主(網漁業の個人経営者のことで、網元ともいう。)の話し合いにて決められている時間です。日の出前から準備を開始し、午前6時には港を出発。多い時には1日3回ほど、網を2艘で曳く二艘びき網漁という漁法で行われます。
漁の方法

漁に使われる網の両端には長いロープがつながっています。まずは、漁船2艘を並走させ、片方の船から、もう一方の船にロープを渡します。その後2艘の船は走行しながら、徐々に網を広げていきます。網がきれいに広がっていっているのを確認したらしばらく進み網の中にあごを集めていきます。

船が走ると、長いロープから垂れ下がる短冊状のテープが海面をたたき、あごを驚かせ、群れを網の中に集めていきます。
曳きあげ

おおよそ1時間半〜2時間で曳きあげです。広げていた網を閉じるように、2艘が近づいていきます。網が狭まるとさっと手際良く片方の船に網を曳きあげます。
網を曳きあげる場所は、風の向きや波の高さ、潮の流れから、あごの群れの位置を予測して判断します。一般的に、海がしけると漁に出られないのが漁師なのですが、あごの場合、風が吹いて波がある時の方が多く獲れるということもあり、いわゆる“しけ”の日が漁のチャンス。危険も伴うため、漁師の経験値が重要なものとなります。
あごの狙い方

あごは表層を泳ぐため、魚群探知機には映りません。漁師たちは海面を見つめ、船の接近に驚いて飛び出すあごの様子から群れの大きさを予測します。
収穫後

獲れたてのあごは、美しい紺碧色。痛まないようにすぐ氷につけられ港に運ばれます。水揚げされたあごは、主に“焼きあご”に加工され、“だし”として使われます。