九州あご文化推進委員会

あごを使った郷土料理や地域ならではのあご料理にまつわるストーリー


食べ方広がる
塩漬け・オイル漬け
「あごんちょび」

新上五島町で製麺所からスタートした「虎屋」。創業者である“五島のトラさん”こと、犬塚虎夫さんをはじめ一家9人の暮らしがドキュメンタリーの映画にもなったという有名なお店です。現在は、長女の南さんご夫婦が営んでおり、五島うどん屋さんの中でもめずらしく、塩からすべて手づくりで地産地消にこだわったものづくりをされています。また、いまは先代からご夫婦が店を引き継いだときに生まれたという「あごんちょび」が、数ある物産品の中でも斬新なアイデアが光るものだと話題になっています。

「あごんちょび」は、新上五島町産のあご、自家製海塩、つばき油を、ぎゅっと一瓶に詰め込んだ製品です。虎屋の主力製品である自家製海塩をベースに、店と町を盛り上げるため、五島の主要産業である漁業ともつながる物づくりをしていこうという思いから生まれました。最初は、鰯を使ったアンチョビを考案していたそうなのですが、美味しいだけではなく、めずらしくなければ広まらないと試行錯誤し、この地域でよくとれる小さいあごを加工した商品ができました。

あごは、優しい味ながら深みがあり、五島特産のつばき油を加えるとさらに香りが増します。同じ青魚といっても、鰯のようにやわらかい身ではなく引き締まっているため、鰯の塩漬けだとドロッとしてしまうところが、型崩れしにくく、適度な歯ごたえになるのだそうです。塩に漬けること2ヶ月、さらにつばき油に漬けること2ヶ月、計4ヵ月温度管理を慎重に行いながら長く熟成させることで片口鰯の「アンチョビ」よりも滋味あふれる、「あごんちょび」ができあがるのです。虎屋の自家製海塩は手間を惜しまず2度焚きすることでエグミの少ない希少な結晶のものとなっています。あごのうま味を最大限に引き出してくれるのはもちろん、地のもの同士だからこそ町の人の舌にもよく合うと人気です。地元の家庭では、五島うどんの麺で作るペペロンチーノやピザ、混ぜごはんなどの主食をはじめ、冷奴や納豆の薬味にも使われています。また、しっかりとした味わいのため、そのままでちびちびと酒のつまみにもぴったり。料理のテイストを問わず使いやすく、幅広い層に親しまれています。

取材協力新上五島町・虎屋 南 慎太郎さん
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